昨今排水管の更新が東京都内では数多く行われております。多摩地区は都内と比べて圧倒的に少ないです。この排水管工事の更新を行うことの前段階において、現状の把握が最重要となります。現状を把握する上で重要なことはヒアリングによる聴き取り調査と現場の実態を知るこの二点が重要となります。では管理組合様が進める事項を順番に記してみます。最初に

1.管理組合と設計コンサルのヒアリングによる調査と判断

皆様が病院に行くと手始めに症状を記入しその後、医者による問診がスタートします。所謂医者の問診です。内容は建物の設備状況の聞き取りと竣工図面と現場を照らしあわせ、改修、修理の記録を確認します。管理組合様に訪問し、聴き取り調査まで技術職3人分プラス諸費用が発生がします。       

2.全戸のアンケート調査

 過去において上階及び壁(PS)から漏水があったかどうか等の調査、どの系統から漏水が多いかを判断材料とし、その結果どの排水管系統を施工するかを判断。アンケートプランは作成を外部に依頼して、配布するのは管理組合が望ましい。

3.現場調査(抜管調査から復旧まで) これが最重要です。

都内の、あるマンションは排水立管が鋳鉄管で40年前に施工されておりました。縦系統の鋳鉄管を2か所抜管したところ肉厚も十分残存しており、排水立管を残し排水横主管及び枝管の更新を行うことにして、実施を致しました。外部の配管に関してはマイクロスコープを使用して枡~枡の間を調査することが必要不可欠な判断基準となります。排水の詰まりや、地盤沈下等も含め調査をお勧めします。調査で重要なことは調査会社がこのような改修を経験しているかどうかが一番のポイントです。新築工事専門業者はさけるべきです。理由は簡単です、改修工事に手慣れていないため管理組合側が迷惑をこうむります。同様に設計事務所に調査診断・図面作成を依頼する時も改修工事同様に経験が豊富な設計事務所をお勧めします。費用は設備業者が作成する方が安く上がります。

4.調査報告書の判断

排水管に関して一般的に築30年以下は更新をやらなくてよいケースは考えられます。30年前は材料も今とあまり変わりないから、そのようなケースもあります。但し、築30年以上のマンションであればこの時期の更新をお勧めいたします。いずれ更新しなければいけないので、先に延ばしてもいいことがありません。また、報告書は管理組合の皆様が解かるものでなければ、どんなに立派な報告書を頂いても意味がありません。実務的で理事会の皆様が理解しやすい報告書をお願いすることです。

5.実施プランの作成と概算見積り作成

以上のデータのもとに経路、プランの検討をします。大まかな平面プランを作成し、次に管理組合様が解かる図面を作成します。工程表は勿論必需です。図面をもとに数量を拾い一般的な施工性のよい材料で予算見積りを試算します。(工程表、仕様書、平面図、系統図、一部断面図)を作成

6.理事会・総会での予算と実施の承認

ここでの注意することは、前もって区分所有者全員に排水管更新を理解してもらうことです。それにはアンケートや説明会等が重要な役割を果たします。これをぬかして進めると総会で猛反対がでて、それ以上を進めるのも難しい状況をつくる結果になるので慎重に進めることです。

7.施工業者用説明会と施工業者の決定

業者は公募(住民による公募と、業界新聞による公募)の2種類があります。概ね4社程度が絞りやすいのですが、不安なときは6,7社入れてもかまいません以上で排水管の業者が決まります。あとは、管理組合が立てたスケジュールで進んでいきます。

以上が排水管更新の手順です。